◆友がいればokey-dokey

2011年秋。松井珠理奈は、この年初めてSKE48のアニバーサリー公演に出演した。チームの顔でありながら、過去2回はスケジュールの都合で出演が叶わなかった

もう一度初心に戻り、チームSの仲間とともに、後輩たちを引っ張っていこう…

グループ結成3周年を迎えた喜びを劇場でファンと分かち合った珠理奈は、決意を新たにしていた

SKE48も勢いに乗っていた
10月には待望のチームKII オリジナル公演『ラムネの飲む方』が杮落としを迎えた
シングルCDも『バンザイ Venus』『パレオはエメラルド』と、2作連続でウィークリー1位を獲得。そして11月9日には通算7枚目のシングル『オキドキ』をリリースする

『オキドキ』は ”okey-dokey ” 、英語「OK」の口語表現だ。リリース時のインタビューで珠理奈はこう語っている

『この『オキドキ』の歌詞を聞いた時に、自分たちの胸にもすごい響いて、今までみたいに『頑張れ』とかだけじゃなくて、ちょっぴり休むことも大切だよ、立ち止まることも大事なんだよって言うフレーズに、すごい勇気をもらいました」

友がいれば okey-dokey
凹みそうになったら
弱音吐いてしまえよ(楽になる)
友がいれば okey-dokey
一人きりじゃないんだ
もっと甘えていい(立ち直れ!)

さあ ちょっぴり休もう
いいチャンスじゃないか
Do it ! その後で
Do it ! 立ち直ってみろ

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アップテンポの曲調、ダンスバトルをイメージした激しい振り付けとは対照的に、歌詞の中では「どんな辛いことでもきっと何とかなる。仲間の絆を信じよう」という温かなメッセージが綴られている

デビューからSKE48の重い看板を背負い、向かい風に耐えながら年中無休で全力疾走してきた珠理奈。抱えねばならない重荷のすべてを背負ってきた珠理奈の中で、少しずつ、何かが変わろうとしていた

◆嫌われる勇気

松井珠理奈を語る上で欠かせない出来事のひとつ「AKBチームK兼任発表」について綴る前に、彼女がいかにSKE48というグループを大切にしてきたかを、旧チームEの苦悩と葛藤から振り返ってみたい

1期生を中心としたチームS。オリメンの佐藤実絵子・星羅が2期生を脇から支えるチームKII。個性と才能の持ち主が揃った3期生は各チームに振り分けられた。最後に結成されたチームEは、4期生を中心に結成された、まさに「末っ子」のチームだった

メンバーの大半を占める4期生たちは、圧倒的に先輩とのコミュニケーションが不足していた。言ってみれば、わがままな子供たちの集まりである。故に、パフォーマンスからは、まとまりも目指す方向性も見えてこなかった

珠理奈はそんなチームEのレッスンに、多忙の合間を縫ってしばしば足を運んだ

「まず振りが揃っていないし、チームとしてまとまっていない!」

初日を目前にした後輩たちを、珠理奈は叱咤しながら励ました
その熱心さは、当時のチームEメンバーのブログから窺うことができる

「珠理奈さんはまだチームEが初日をむかえていないときに、お仕事が終わったらチームEのレッスンをみてくださっていたんです! (酒井芽衣)」

「とっても忙しい珠理奈さんなのですが、空いている時間を見付けては、チームEのレッスンを見に来て下さるんです。振りが間違っていると、優しく丁寧に教えて下さったり。まどかの尊敬している先輩です(梅本まどか)」

だがSやKIIのパフォーマンスと比べると、チームEの公演はどうしても見劣りする。ファンの間からも、心配の声が次々あがるようになった。普段から選抜メンバーとして先輩からアドバイスを受けている木本花音も、そんなチームの現状に危機感を抱いていた

松井珠理奈を語る上で欠かせない出来事のひとつ「AKBチームK兼任発表」について綴る前に、彼女がいかにSKE48というグループを大切にしてきたかを、旧チームEの苦悩と葛藤から振り返ってみたい

1期生を中心としたチームS。2期生をオリメンの佐藤実絵子・星羅が脇から支えるチームKII。個性と才能の持ち主が揃った3期生は各チームに振り分けられた。最後に結成されたチームEは、4期生を中心に結成された、まさに「末っ子」のチームだった

メンバーの大半を占める4期生たちは、圧倒的に先輩とのコミュニケーションが不足していた。言ってみれば、わがままな子供たちの集まりである。故に、パフォーマンスからは、まとまりも目指す方向性も見えてこなかった

珠理奈はそんなチームEのレッスンに、多忙の合間を縫ってしばしば足を運んだ

「まず振りが揃っていないし、チームとしてまとまっていない!」

初日を目前にした後輩たちを、珠理奈は叱咤しながら励ました
その熱心さは、当時のチームEメンバーのブログから窺うことができる

「珠理奈さんはまだチームEが初日をむかえていないときに、お仕事が終わったらチームEのレッスンをみてくださっていたんです! (酒井芽衣)」

「とっても忙しい珠理奈さんなのですが、空いている時間を見付けては、チームEのレッスンを見に来て下さるんです。振りが間違っていると、優しく丁寧に教えて下さったり。まどかの尊敬している先輩です(梅本まどか)」

だがSやKIIのパフォーマンスと比べると、チームEの公演はどうしても見劣りする。ファンの間からも、心配の声が次々あがるようになった。普段から選抜メンバーとして先輩からアドバイスを受けている木本花音も、そんなチームの現状に危機感を抱いていた

その頃の珠理奈は、選抜総選挙で初めて松井玲奈に順位を抜かれ、自身の存在価値を見失うほど辛い思いをしていた時期だったが、SKE48を愛する気持ちには微塵のブレもなかった

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その年の7月にも、珠理奈はチームEの『パジャマドライブ』公演を観に行っている。その時のチームEのメンバーのブログを抜粋しよう

「今日はじゅりなさんが公演を見にきて下さっていました!すごく為になるアドバイスをたくさんいただきました。じゅりなさんは、チームEが出来た当初からたくさんのアドバイスを下さる優しい先輩です(小林亜美)」

「今日の公演にじゅりなさんが見に来てくださっていました!! 『チームEは本当によくなった!』と言ってくださって、本当に嬉しかったです(略)初めのチームEは本当にダメダメだった。どうしようも出来ないくらいでした。初日を迎えることができましたが評価は良くなくてトークもダメで、沢山悩みました(略)でも今のまま満足出来ないししてられないから。もっともっと上を目指して頑張ります(原望奈美)」

「今日の公演じゅりなさんがみにきて下さってました。じゅりなさんはチームE公演が始まる前のレッスンからずっと見ててくださってて、SKEを大事にしてる気持ちが凄く伝わってきて、チームEも先輩方にこの子らなら任せられるって見つけて頂けるように努力しなければと思ってきました。そして今日じゅりなさんから『成長した』と言って頂けました! 嬉しい半面もっと頑張らなければという思いが…
だって成長したとは言って頂けたんですがまだ任せられるという言葉ではなかった!
まだ私的にも今のチームEじゃまだまだダメと思います(木本花音)」

「公演終わりに珠理奈さんも来てくださっていたことを知ってびっくりしました。私はメンバーさんが見にきてくださると必ず感想を聞くようにしているのですが、珠理奈さんには楽しかったって笑顔で言っていただけました。振りとかも揃っててよかったって言っていただけて。珠理奈さんはメンバーさんの中では一番って言うぐらい頻繁に公演が始まる前のレッスンから見ていただいてたので嬉しかった。でもやっぱり課題をいただきましたし、メンバーさんだからこそ気付かれたこともあって悔しいです…もっと良くしたい!もっとほめられたい!(磯原杏華)」

「実は、昨日の公演に珠理奈さんが来てくださったんです!! 珠理奈さんは、チームEができたばかりの時から少ない時間の中、レッスンを見てくださったり、沢山アドバイスをいただいたり…本当にSKEのことを考えていらっしゃる方で。そんな珠理奈さんが、昨日の公演を見て、"成長した"と言ってくださいました!! ですが、里佳は"まだまだ"だって思ってます。"今のチームEならSKEを任せることができる" そう言っていただけた時が、チームEが本当の"最強チーム"になった時だと思うんです(都築里佳)」

優しい言葉をかけて相手を励ますことは、おそらく誰にでもできるだろう

だが、自分の時間を割いて厳しい指導をすることは、心からの愛情と情熱を持っていなければ容易にはできないことだ

相手に嫌われる勇気を持つことーー

弱冠14歳にしてその覚悟を持てるほど、SKE48に対する珠理奈の思いは強いものであった

(続く)

参考資料
「SKE48 OFFICIAL HISTORY BOOK」
「BUBKA 2015年4月号」
「SKE48 OFFICIAL HISTORY BOOK」
「ガールズニュース 2011.11.14」